外壁リフォームのタイミング
(株)Re Home 代表取締役 兼 全国外壁診断士協会認定外壁診断士の小柳勝哉です。
今回は皆様が一番最初に悩まれるタイミングについてのお話です。
お客様とお話ししていると、やらなきゃいけないのは分かるけどご近所がまだやってないし、うちもまだ大丈夫なんじゃないか、あるいはここまできたらもう数年待って全部張り替えしようか、そんなことをよく言われます。今すぐやらないと家が倒れるわけではないですからそう考える気持ちもわかります。
他にお金がかかることもたくさんありますからそっちを優先したい気持ちもよくわかります。車を買い替えなきゃいけないかなんてこともよく言われます。
ただ外壁のリフォームをしないといけない理由も当然あるわけで、その理由を説明します。
先に結論から、外壁リフォームを行うタイミングは築6年経過後です。6年経っていれば早すぎるということはありませんし、実際最近6.7年で弊社で工事をされたお客様がたくさんいらっしゃいます。なぜ6年経過後なのか?昔は10年ひと塗りという言葉がよく言われていました。10年に1度は塗装してくださいね。という意味ですが、今の時代はもっと早くやる必要があります。
簡単に外壁のことを説明すると、今、世の中の一般住宅の外壁材の約8割が窯業系(ようぎょうけい)サイディングというものが使われています。窯業系サイディングは、紙の主成分であるパルプとセメントを混ぜ合わせたものを窯の中で高圧処理し、板状に形成したものです。
難しく考えず、ストレートに。今の我が家の外壁は紙で出来てるんだと思ってください。もし外壁が紙でできているのなら水を吸収したらどうなるか?ボロボロになりますよね?
そういうことなんです。
数十年前は家を建てるのはとても大変なことで、かなり高額な費用がかかりました。なぜかというと、数十年前は窯業系サイディングというものが世の中になかったんです。
窯業系サイディングが初めて誕生したのは実は意外に新しく、1974年頃と言われています。それ以前の家は、モルタル壁というものが主流でした。
今であれば大工さんが最初から最後まで建築作業を行うため、工期も短く抑えられ、気づいたらあっという間に家が建っている、そんな感じですが、昔の家はそうではなく、大工さんが建てるのは変わりありませんが、外壁のモルタル壁は、いわゆる左官屋さんがゼロから壁を作り上げていきます。その為工期も長く費用も高かったわけです。
窯業系サイディングの誕生により憧れのマイホームではなく、誰でもマイホームが持てるようになったわけです。
さらに、今の時代はローコスト住宅メーカーがたくさん出ています。1000万以下で家が建てれるなんて昔はありえなかったことですよ。ただローコストということはどこかしらに費用を抑えなければいけないわけですから。それが少なからず外壁材にもあると思ってください。
窯業系サイディングにも当然良し悪しがあります。窯業系サイディングを扱うメーカーも数社あり、そのメーカーの中でも何十種類もデザインがあり、厚みの違いや性能の違いがあります。
ただ、今ほとんどのメーカーで使われているのは厚さ14ミリの標準仕様になります。厚みが増せば当選傷みづらくもなりますし、特殊なコーティングがされていればその分持ちもよくなります。ただお客様が家を建てる時自分で外壁を選んだと思いますが、ほんの数種類の中から選ばされたはずです。もし詳しい知識をお持ちであったなら、窯業系サイディング以外の選択肢もあったと思うのですが、大体はわからずに選んでしまいます。今だと35ミリなんて商品もあります。
さて、あらためて今回のコラムのテーマ、築何年でリフォーム(外壁塗装)をすればいいのか。先ほど築6年経過後からと記載しましたが、その理由です。
今の時代ほとんどの外壁材が窯業系サイディング、大体が紙とセメントでできている。水を吸うとボロボロになってしまう。新潟県は雨と雪が非常に多い地域です。年間の約半分が雨か雪と言われている地域です。当然外壁が痛みやすい地域になります。ちなみに私も群馬県に滞在していたことがありますが、関東はほとんど雨も降りませんし、冬でも雪もほぼ降りません。それぐらい新潟県は環境が悪い地域なんです。
新築で張られた外壁材(窯業系サイディング)には最初、防水のための焼き付け塗装がされています。ただ残念ながらそんなに高い性能の防水ではないんです。もっても5年程度。
つまり5年間は水を弾きますからその間は外壁が痛みません。ただそれ以降は防水が切れますので、延々と水を吸い続けます。防水が切れて間もない頃であればサイディングも全然痛んでないのですが、年数が経つにつれて色々な目につく痛みが出てきます。痛みの種類にも色々ありますが、剥離や腐食と言われる、外壁材が水をたくさん吸収することで、ボード自体が剥がれる現象、これが出てくると緊急の状態です。剥離や腐食にも軽度なものから重度なものまでありますが、軽度なものであれば塗装をする前に簡単な補修をすることで跡も残さず綺麗に仕上がります。(本当は剥離が出る前に、腐食しないように塗装するべきなのですが)重度なものになると補修しても跡が残ったり、せっかく塗装してもすぐ剥がれる原因になったりします。その場合の対処方法として、塗装する前に痛んでいる部分のサイディングを部分的に交換してから工事する必要が出てきます。そうした場合のデメリットとして、サイディング自体を張り替えることによる余計な費用がかかること、結構なお金がかかります。
さらには見た目の変化、10年前に使われていた同じデザインの外壁材はなくなっていることが多々あります。デザイン変更されたりするからです。それでも張り替えをしないといけない場合どうするかというと、なるべく似たような柄を選んで張り替えていきます。その後にちゃんと張り替えた部分も塗装するのですが、ボードの柄が違うのでその部分だけツギハギみたいになってしまいます。せっかく綺麗にしたのに、時期が遅れたせいで残念な結果になるのは本当に悔やまれます。もう少し早く塗装していれば・・
あとたまにいらっしゃるのですが、ここまでやらないできたからどうせならあと5年待ってボロボロになってから全部張り替えしよう。これは絶対にやめてください。数年後考えているのなら今すぐやってください。そもそも外壁というのは何の為にあるのか?家は木造がほとんどですから、躯体のの木部に水が入らないように外壁があるんです。柱はとても重要です。よく築20年の家を工事することがありますが、外壁を剥がして中をチェックした際、高確率でシロアリに食われています。シロアリは水を吸った木が大好物です。シロアリに食われている状態はかなり深刻です。はっきり言って大きな地震が来たら家が倒壊する原因になります。実際私たちは何軒もシロアリ工事、躯体の柱交換工事を行ってきました。
私たちの思いとしては、家は数年前に皆さんが夢見てやっと建てた貴重な財産です。一生で一番の高い買い物です。家族との思い出が詰まった大切なマイホームです。
そんな大切なお家にずっと安心して暮らせるよう、自分の家ですから、早く守ってあげてください。
思い出は形を変えて
長文ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。